タマネギ苗 早植え
タマネギは晩秋に植え付けをし、初夏に収穫するのが一般的です
品種によっては、夏野菜の苗を定植する時期と、タマネギを収穫する時期がダブり、
タマネギの収穫時期の方が遅いこともあります。
最初から育てるスペースがそれぞれに確保されている、
プロの農家のような広いスペースがあれば、それも問題ないでしょう。
ところが、家庭菜園のように栽培できるスペースが限られている場合、
次に育てる野菜との栽培時期の兼ね合いは重要です。
そんな時、苗を早植えすれば早く収穫できるのではと考える人も多いです。
タマネギは苗を早植えすると、本当に収穫時期も早くなるのでしょうか?
[タマネギ苗 早植え]
■タマネギの生長過程
タマネギの苗を実際に早植えして育ててみると、
収穫時期は適期に植え付けしたものと同じくらいだったりします。
早植えは、生育が良くなく、球の肥大も弱く、収穫できても球が小さいなど、
全体の収量は適期に定植したものより、大きく劣ることがあるほどです。
なぜこのように早植えしても収穫が早まらず、収量が悪くなるかというと、
それはタマネギの球が肥大する理由に秘密があります。
タマネギは、トマトやナスのように、株が大きくなったからといって、
必ずしも球が大きく肥るわけではありません。
タマネギの球が肥るためには、一定以上の平均気温と日長時間が必要となります。
しかも必要な温度と日長時間は、タマネギの早晩生で異なります。
極早生や早生であれば、平均気温が低く日長時間が短めでも肥大が始まります。
反対に晩生になるほど、平均気温が高く、日長時間が長めでないと肥大が始まりません。
つまり、球の肥大が始まるタイミングは、
早植えにしようと適期に定植しようと、同じということになります。
■早植えの短所
適期よりも早い時期に植え付けたり、
適期であっても苗がまだ小さいうちに早植えると、色々な影響が出ます。
タマネギの場合は、早植えすることで収穫が早まることはないので、
むしろ短所の方が多くなります。
・トウ立ち、球割れ
苗が植え付け適期に育ったものでも、定植適期よりも早く植え付けると、
冬を越すまでに大きくなりすぎ、トウ立ちや球割れしやすくなります。
トウ立ちや球割れが起きると、球がほとんど肥大せずに終わることが多くなります。
球割れの場合、一見すると大きく育ったように見えますが、
実際には球が割れてしまい、1個のサイズは小さくなり形も悪くなります。
・植え傷み
定植の適期になった時、焦って小さい苗を植え付けるのも良くありません。
特に自分で苗を育てて定植する予定だった場合、
苗の生育が遅れ、定植気に慌てて植え付けることが起きやすくなります。
定植適期でも、小さい苗を植え付けると、
冬までの生長が間に合わず、枯れてしまうことがあります。
また、植え付けた時のストレス、いわゆる植え傷みが激しくなり、
冬を待たずに枯れてたり、生育不良に陥ることがあります。
どうしても育苗が間に合わなかった場合は、
早めに諦めて定植サイズの苗を購入した方が賢明です。
ネット購入の苗は、大きさがほぼ揃っていました C)千草園芸
■タマネギ苗の生育を揃える
早植えをしているつもりがなくても、苗のサイズがバラバラであった場合、
小さな苗は早植え状態となることがあります。
結果として、生育にもばらつきができ、欠株になる可能性も高くなります。
定植する苗のばらつきを減らすことも、早植え防止となり、生育を揃えるコツです。
・種の播き方
自分で育苗する時、種の播き方によって、苗の生長が揃うかどうかが決まります。
種を土の上に置き、その上から土をかぶせますが、
この土の厚さや鎮圧の強さが一定でないと、種の深さがバラバラになります。
種から芽が出た時、種の深さが違うだけでも、発芽の時期が異なります。
地上に出てくる芽が揃っていないということは、
その後の生育もバラバラになりやすく、大小さまざまな苗が出来上がります。
種を播く時は、播く場所の土を必ず平らにしてから種を播き、
同じ厚さになるように覆土し、同じ力加減で鎮圧することも忘れずに。
・苗の選別
育苗にどれだけ気を使っていても、どうしても苗には大小が出ることがあります。
また、購入した苗の場合も、1束の中にサイズが異なる苗が入っていることがあります。
選別せず植え付けると、小さな苗が早植え状態となるため、
植え付け前には、苗の大小を揃えるよう選別を行いましょう。
■参考
・タマネギ 苗の作り方
・タマネギ 苗の販売
・タマネギ 苗の植え方
・ホームタマネギの栽培