タマネギ栽培 坊主
タマネギのネギ坊主
タマネギの苗やホームタマネギを秋に植え付けて栽培すると、
春にネギ坊主のようなものが出てくることがあります。
このネギ坊主のようなものは、タマネギの花です。
いわゆるトウ立ち=抽苔(ちゅうだい)をしている状態ですが、
タマネギにとって、トウ立ちはあまり良いものではありません。
タマネギにネギ坊主のようなものができると、何が悪いのでしょうか。
また、ネギ坊主ができないよう栽培するには、
どのようにすればよいかをご紹介します。
[タマネギ栽培 坊主]
■トウ立ちする原因
タマネギにネギ坊主のようなものができてしまうのは、
冬の前に苗が育ちすぎていることが原因です。
タマネギの苗を植え付けた場合は、春~初夏に収穫できるものがほとんどで、
ホームタマネギ(オニオンセット)の場合は、上手に育てれば年内収穫もできます。
冬の間、タマネギはあまり生長しません。
植え付けから本格的に寒くなるまでにやや生長し、そのままの状態で冬を越します。
そして春になって気温が高くなってくると、また生育を再開します。
生育を再開した時、タマネギが育ちすぎていると、
球の肥大に体力を使わず、花を咲かせるトウ立ちに体力を使うようになります。
ホームタマネギの場合も、年内収穫できなかった場合、
休眠前に生長しすぎていると、春になってからトウ立ちしやすくなります。
ネギのネギ坊主
■トウ立ちすると何が悪い?
タマネギがトウ立ちすると、どのような悪影響があるのでしょうか。
花を咲かせて種を残す=生殖生長は、植物にとってはとても疲れる作業です。
生殖成長がスタートするとと栄養成長がストップします。
そして収穫物の茎葉や球が固く食味が悪くなります。
つまり開花に体力を使うことで、球の部分を美味しく肥大させる体力が残らず、
小さなタマネギしか収穫できないようになります。
また、球の中心から花茎が伸びるため、
皮の中でタマネギが2つに割れてしまい、1かけらがとても小さくなることもあります。
タマネギは首がよく締まっているものが貯蔵性も高く、おいしいです。
トウ立ちしてしまうと、首の締まりも悪くなり、
太くなる傾向があるので、貯蔵性も悪くなります。
種をとる目的があれば花を咲かせても構いませんが、
F1品種では種をとっても親と同じように育たず、
タマネギとして収穫したい場合は収量が減ることになります。
葉が太く多く育っているものがトウ立ちする傾向が強いように感じます。
そういったものは、トウ立ちするために養分を使っているため、
葉タマネギとして食べてもあまりおいしくないことがあります。
葉タマネギとして収穫するにしても、球を使うために収穫するにしても、
トウ立ちさせると悪影響が出ます。
■トウ立ちを防ぐには?
トウ立ちを防ぐには、冬前に大きく育ちすぎないようにするのが一番です。
苗を植え付ける場合は、植え付け前に太さによって苗を選別します。
苗の太さが1.5cm以上のものはトウ立ちしやすいので外しておきます。
また、苗の太さが5mm以下のものは、
冬の間に凍害・冷害にあいやすくなるので外します。
ホームタマネギを育てる場合、年内収穫を目標にするのであれば、
植え付け時期を逃さないように注意します。
だいたい8月30日を中心に、前後4日が植え付け適期とされています。
その時期を外すと、年内の収穫が難しくなります。
年内に収穫できないと、球の肥大が不十分なまま、冬を越すことになります。
年内目標で植え付けたホームタマネギは、
休眠するまでに大きく育ってしまうため、春にトウ立ちする可能性が高くなります。
ホームタマネギを育てる場合でも、春に収穫を目指す場合は、
8月末に植え付けをせずに、10月下旬に植え付けを行うようにします。
10月下旬に植え付ければ、休眠前に大きく育たずトウ立ちを防ぐことができます。
■参考
・タマネギ 苗の作り方
・タマネギ 苗の販売
・タマネギ苗の保存方法
・ホームタマネギの栽培