タマネギ栽培 寒冷地
北海道北見のタマネギ畑
タマネギ栽培は、暖地での栽培と寒冷地とでは、
少し違いがあります。
暖地では、秋に種を播いて初夏に収穫する、
一般的な作型で育てるのが基本です。
寒冷地では、秋に種を播く暖地と同じ作型で育てるパターンと、
春に種を播いて夏に収穫するパターンの2通りがあります。
さらに春に種を播いて育てるパターンの中にも、
早期の春まきや直播きなど、いくつかの種類があります。
基本的には秋まきでも春まきでも育てることができますが、
東北や北海道のような、特に寒い地域では、
秋まきよりも春まきで育てた方が現実的です。
では、寒冷地でタマネギを栽培する時、
作型ごとのメリットやデメリット、
また育てるためのコツなどはあるのでしょうか。
[タマネギ栽培 寒冷地]
■秋まき移植栽培
秋に種を播いて育てるのは、暖地の秋まき栽培と同じですが、
寒冷地では気温の上昇が遅いため、収穫できるのは7月末~8月頃です。
8月に種を播いて育苗し、9月に苗を定植して育て、収穫は7月末~8月です。
寒冷地の作型では一番収穫が早いですが、栽培期間が一番長くなります。
寒冷地でも、積雪する地域だと、雪溶け水が畑に溜まってしまい、
タマネギが傷んだり、病気に感染する可能性が高くなります。
春の雪解けが早く、かつ水はけが良い畑であれば、地植えでも栽培可能です。
プランターなどの容器栽培の場合で、
雪が積もらない環境であれば、栽培は可能です。
寒冷地のこの作型には、
「ラッキー」や「もみじ3号」のような品種が合います。
■春まき普通栽培
春に種を播いて育てる作型で、
寒冷地でのタマネギ栽培では、最も一般的な作型です。
3月末~4月上旬に種を播いて育苗し、5月下旬に定植して育て、
収穫は8月下旬からになります。
秋まきの作型に比べると、栽培期間が短く、
寒さが和らいでから栽培を始めるので、寒冷地にはぴったりです。
種を播いて育苗する期間はまだ寒さが残っているため、
ビニールハウスやトンネル内での育苗が必要となります。
定植する頃には雪もなくなっているので、特別な資材はほぼ必要ありません。
この作型には「北もみじ2000」「スーパー北もみじ」「ウルフ」、
などの品種がお勧めです。
■早期春まき移植栽培
春まき普通栽培よりも、早めに種を播いて育てる作型です。
1月~2月に種を播いて育苗し、4月下旬に定植して育て、8月に収穫できます。
種を播く時期が早い分、育苗に時間がかかります。
育苗期間中は春まき普通栽培と同じように、
ハウスやトンネル内で保温しながら育苗する必要があります。
また定植する頃も、まだタマネギが生育するには気温が低いことがあり、
気温が十分に上がるまでは不織布をべたがけしておきます。
早期春まき移植栽培には「北早生3号」「北はやて2号」「収多郎」、
などの品種がお勧めです。
収穫直前の北海道のタマネギ
■春まきべたがけ栽培
春まきべたがけ栽培は、
春まき普通栽培に比べて種まきと収穫がやや早い作型です。
3月に種を播き、5月の頭に定植して育て、9月上旬頃に収穫します。
早期春まき移植栽培よりも種を播く時期は遅いですが、
定植から収穫までは同じような流れになります。
こちらも定植後、不織布をべたがけして保温することで、
低温時の生育を促すようにします。
春まきべたがけ栽培では「オホーツク222」などの品種がお勧めです。
■春まき直播き栽培
春に種を直播きして育てる作型です。
4月中旬~4月下旬に種を播き、そのまま育てて9月頃から収穫が始まります。
寒冷地でのタマネギ栽培の作型の中で、一番古い作型とされ、
栽培期間が短いのが特徴です。
直播きしてそのまま収穫まで育てるので、育苗の必要がありません。
さらには気温が上がってから種を播くので、
ハウスやトンネルなどの施設、不織布などの被覆も必要ありません。
もちろん、種を播いた後に不織布でべたがけすることで地温が上がり、
発芽や初期生育が良くなります。
ただ、気温がすでに低い時期を脱しているため、
タマネギ栽培の敵である雑草の発生が多くなる可能性があります。
春まき直播き栽培には「オホーツク222」「北もみじ2000」「イコル」、
などがお勧めです。
■参考
・タマネギ 苗の作り方
・タマネギ 苗の販売
・タマネギ苗の保存方法
・ホームタマネギの栽培