セット栽培の品種選び
初秋にセット球が販売されます
タマネギのセット栽培というものがあります。
一般的なタマネギ栽培は、晩秋に苗を定植し、収穫は翌年の初夏になります。
タマネギのセット栽培は、一般的なタマネギの栽培方法とは、
植え付け時期や収穫時期が異なり、管理法も少し変わります。
セット栽培に適した品種は、どのようなものがあるのでしょうか。
[セット栽培の品種選び]
■セット栽培とは?
タマネギのセット栽培とは、3月頃に種を播いて、
球が肥大して小さなタマネギ状になるまで育てます。
夏の間、タマネギは肥大しないので、
小さなタマネギの状態で掘り上げ、日陰で休ませます。
夏の終わり頃、植え付けを行って育てることで、
年内にタマネギを収穫することができるというものです。
タマネギは普通に育てれば、早くても春まで収穫はできません。
それを小さなタマネギの状態までせんに前もって育てておくことで、
普通に育てるよりも早く収穫できるようにしているのです。
小さなタマネギの状態になったものは、
オニオンセットやホームタマネギという名前で、植え付け適期に店頭に並びます。
すでに小さなタマネギになった状態なので、植え付けから収穫までの期間が短く、
スペースの限られた庭で家庭菜園を楽しむ人にとっては、嬉しい栽培法です。
初心者でも育てられますが、必ず適期内に植え付けるなどのコツが必要なので、
最初はうまく育たず、年内に収穫できないことも多々あります。
けれど、本来であれば春以降にしか楽しむことのできない新タマネギを、
冬の間に楽しめるため、チャレンジしてみる価値はあります。
シャルム
■セット栽培の品種選び
セット栽培をする場合、セット球を購入して植え付けるか、
自分で種からセット球を作り、それを植え付けるかになります。
購入する場合は、適期のうちにホームセンターなどで購入し、植え付けを行います。
問題は、自分でセット球を育てる時です。
タマネギには意外とたくさんの品種があり、
どれでもセット栽培にできるかというと、実はそうではありません。
セット栽培に向いている品種を選ばないと、
休眠までに球状にならなかったり、保存中に傷むことがあります。
セット栽培に適した品種に「シャルム」というものがあります。
タマネギ栽培の資料にも、セット栽培に向いていると書かれていることが多いです。
事実、シャルムの紹介文には、セット栽培専用の品種と書かれています。
もちろん、シャルムを使ってセット栽培することは可能です。
ただ、注意しておく点があります。
・セット球の選別
3月に種を播いて育てたセット球は、5月頃に掘り上げて貯蔵に回します。
この時、シャルムは極早生品種のため、育て方に問題がなければ、
たいていは球が肥大しています。
一見すると、セット球として十分使えるものばかりが育ったように見えます。
ところが、夏の終わりに実際に植え付けをして育ててみると、
意外と欠株が出たり、青立ちになる株が多かったりすることがあります。
タマネギを苗から育てる場合も、苗の選別をして、植え付けに適したものを使います。
それと同じように、セット球も選別し、揃いの良い状態で植え付けるようにします。
セット球はどれも同じように見えますが、よく見てみると、大きさに大小があります。
栽培に適しているサイズは、直径が2.5cm~3cmのものです。
それよりも小さかったり、大きかったりするものは除けておきます。
タマネギセット球は手軽に栽培できます
■シャルム以外の品種
シャルムはセット栽培に特化した品種ですが、
もちろんシャルム以外の品種もセット栽培で育てることができます。
球が早くできて、大きさが揃いやすい極早生や早生の品種がお勧めです。
「スーパーアップ」「冬スターF」「冬スターH」「トップゴールド320」などが、
セット栽培が可能な品種です。
これらの品種の場合、3月に種を播いて5月に掘り上げを行った後、
夏を越す間に使えない球は自然と傷んで使えなくなることが多いようです。
そのため、シャルムのような選別がほとんど必要なく、手間が省けます。