タマネギ栽培 分球
タマネギ栽培中、分球という現象が起こることがあります
1球のはずのタマネギが分裂して、
形が悪くなったり、小さくなったりと、良いことはありません。
分球する原因や、予防法をご紹介します。
[タマネギ栽培 分球]
■分球とは?
タマネギ栽培での分球とは、1株1球のはずのタマネギの玉部分の、
内部が分裂し、複数になってしまう状態です。
本来は丸く育つはずのタマネギが、
分球すると隣同士がくっついているため、接している部分が平らになって面になります。
そのため、キレイな丸いタマネギができず、形が崩れます。
また、分球すると1株で育つはずの玉が複数に割れるため、
どうしても肥りが足りず、小さく育ちます。
分球したものは、窒素の効きが遅くなることがあります。
本来、タマネギは夏を越して涼しくなる頃に芽が出始めますが、
窒素が遅く効くと、季節を間違えて変な時期に芽が伸びてくる場合があります。
分球したタマネギが、肥大期に入って妙なところから芽が出たりするのは、
こういったことが原因です。
分球したタマネギは食べられないということはありません。
けれど、玉が小さくなった分、可食部も小さくなるのです。
しかも分球したタマネギは芯が固くなることがあるので、
正常に育ったものに比べると、どうしても食味が落ちやすくなります。
家庭菜園ならそれでも構わないということもありますが、
農家となればそうはいきません。
また、家庭菜園でも、貸農園などで大量のタマネギを育てた結果、
ほとんど株が分球すると、ガックリしてやる気を失ってしまいそうです。
タマネギは栽培期間が長めで、最終段階でまとめて収穫する野菜なので、
最後の最後までどうなるのか分かりません。
分球せず、キレイな状態のタマネギを収穫するために、
分球する原因と、分球しないためのポイントを知っておくと良いでしょう。
■分球の原因
分球の最大の原因は、苗が育ちすぎていることにあります。
タマネギは冬を越えて収穫期を迎えますが、
冬の間はほとんど生育をしていません。
苗を植え付けた後に少しずつ育ち、寒い冬を迎えて生育を止めます。
その後、春になるとまた生育を始めるのですが、
この時にすでに大きく育ってしまっているものは、
春を迎えるとトウ立ちを起こしやすくなります。
タマネギ栽培では、トウ立ちすると分球と同じく可食部が減り、
形と食味が悪くなるため、避けるべき現象です。
トウ立ちした株は分球しているものも多いです。
実は、分球する原因とトウ立ちする原因には共通点があり、
それが苗が育ちすぎている点です。
実は、分球は苗の時点で起こる、
あるいは起こりやすくなっている場合がほとんどなのです。
タマネギの苗を植え付ける時、苗が大きいものを選べばよいと、
思われていることが多いですが、実はそうではありません。
むしろタマネギ苗の場合は、大きすぎる苗を植え付けると、
トウ立ちや分球のリスクが高くなります。
大きい苗を植え付けると、苗の中で一次分球が進んでしまいます。
見た目は分からなくても、すでに苗の内部では分球が始まることもあるので、
大きい苗を植え付けるのは、タマネギ栽培では危険ということになります。
鉛筆の太さくらい(5mm~6mm)の良苗を植えるのが良いです
■分球させないために
良い状態のタマネギを収穫するためには、分球させないことが大切です。
では、分球を予防する方法には、どのようなものがあるのでしょうか。
・種まきの適期を守る
タマネギの苗を準備する時、苗を購入するか自分で育苗するかになります。
苗を自分で育てる場合は、種まきの時期を守ることが重要です。
育苗が初めての場合や、あまり得意でない場合、
失敗してもやり直しができるようにと、早めに種まきを行う場合があります。
野菜の中には、それでも問題がないものもたくさんありますが、
タマネギの場合は特に注意が必要です。
早めに種まきをして、そのまま順調に育ったら、
植え付け適期までの日数が長いため、苗が大きく育ちすぎてしまう可能性が高くなります。
大きな苗を植え付ければ、一次分球の可能性が高くなり、
分球のリスクが高まります。
育苗の日数を適正にするためには、早まきは避けた方が良いでしょう。
また、植え付け時期を遅らせるのも良くありません。
植え付け時期を遅らせるということは、
育苗期間を長めるのと同じこととなり、苗が太く育ちすぎてしまいます。
・苗の選別をきちんとする
苗を植え付ける前に必要な作業に、苗の選別があります。
タマネギ栽培初心者の方の中には、この選別を行わなかったために、
失敗してしまったというケースも多いようです。
トマトやキュウリなどの夏野菜などであれば、
全体的にガッシリとしていて生育の良さそうなものを選ぶのがセオリーです。
ところが、タマネギはそうとは限りません。
あまりに立派で太い苗ばかりを選ぶと、
植え付け後に急激に生長し、分球する可能性が高くなります。
タマネギの苗を選ぶ時は、太すぎても細すぎてもいけません。
目安となる太さは、5mm~6mmです。
5mm~6mmより細いと冬の寒さに負けて枯れてしまうことがあり、
これより太いと、分球やトウ立ちを起こす可能性が高くなります。
タマネギ苗を植え付ける前には、自分で育てた苗であっても、
購入した苗であっても、選別の作業が不可欠ということになります。
■参考
・タマネギ 苗の作り方
・タマネギ 苗の販売
・タマネギ苗の保存方法
・タマネギ 肥料過多
・タマネギ 肥料一発
・タマネギ 無機肥料
・タマネギ 有機肥料
・タマネギ 3月の肥料
・タマネギの収穫時期