タマネギ タネバエ
タネバエのアップ
タネバエは、タマネギなどのネギ類によく発生する害虫です
成虫はとても小さなハエの姿をしていますが、大量に発生するとタマネギが生育せず、
枯死して全滅することがあるほど、厄介な害虫です。
タネバエの特徴や被害の様子、対策法などをご紹介します。
[タマネギ タネバエ]
■タネバエの特徴
タネバエの成虫の見た目は、小さなハエそのものです。
体長は5mm~6mmと非常に小さいため、
飛んでいてもあまり気にならないこともあるほどです。
どこからともなく飛来してくるため、
いつどのようにしてやってくるのか予想するのが難しいです。
・幼虫と卵
ただ、実際にタマネギを食害するのは、成虫ではなく幼虫の方です。
ハエの仲間であるタネバエの幼虫らしく、
白~黄色味を帯びたウジの姿をしているのが特徴です。
タネバエは幼虫も体が小さく、大きく育っても6mmほどしかありません。
幼虫時代を過ごした後は、円錐形の蛹となり、最終的に成虫になります。
卵から成虫になるまでの期間はそれほど長くないため、年間に何度も発生します。
タネバエの卵は、タマネギの地際に近い部分に産み付けられますが、
土の表層部に産み付けられることもあるため、
植物がなくても発生する可能性はあります。
孵化した幼虫は、近くにある腐植した植物を食べたり、
タマネギの茎に侵入して食害したり、土に潜り込んで根を食害します。
また、育苗するためにタネを播いた後、タネに侵入して食害する場合もあります。
こちらは、コバエです
■発生時期、被害の様子
タネバエの活動期間は、おもに春~秋にかけてです。
真夏の気温の高い時期は、繁殖活動を行わずに成虫のまま過ごすため、夏場は
いったん発生が弱まります。
それでも、春~秋にかけて5回~6回も発生することがあります。
タマネギ栽培では、ちょうど秋に苗を植え付けて春を迎え、
初夏に収穫を行うため、タネバエの活動期間とぴたりと合います。
夏以降の育苗時にも発生時期が重なるため、
タマネギ栽培ではとても厄介な害虫とされています。
・食害の被害
タネバエの幼虫に食害されると、その部分から腐敗していくため、
まだ幼い苗の場合は地際からバタリと倒れてしまうことがあります。
まだ細い苗の地際をかじられることで、
腐敗せずにある日突然倒れているということもあります。
また、内部からじわじわと腐敗が広がり、
いつの間にか枯死することもあります。
タネに侵入されれば、発芽したばかりの小さな芽が食べられるため、
まともに地上に芽が出ることもない場合もあります。
枯れた部分は欠株となるため、新しい苗を植え直したとしても、
幼虫がまだ残っている状態だと、食害が繰り返されることとなります。
何度植え直しても同じ場所で苗が倒れる症状や腐敗が見られる場合は、
タネバエがどこかに潜んでいる可能性が高いです。
■対策
ハエの仲間なので、殺虫剤を使用することで、簡単に退治することはできます。
ただ、いつどのように発生するか分からないことと、発生したと気づいた時には、
すでに被害が大きく出ていることも多いため、あらかじめ対策をしておくことが重要です。
タネバエは、ハエの仲間らしく、未発酵の堆肥や大豆カスや鶏ふん、
魚かすなどの有機物、植物が腐敗する臭いに誘われてやってきます。
そのため、タマネギ栽培で使用する堆肥は、必ず完熟のものを選ぶようにします。
また、前作の残渣などを土に埋めて利用する場合は、
タマネギの苗を植え付けるまでの間に、しっかり腐熟させておくようにします。
完熟、腐熟させておくことにより、臭いの発生がほとんどなくなるため、
タネバエを寄せ付ける可能性が低くなります。
・生育環境の改善
タネバエは、やや湿度の高い場所を好みます。
タマネギを栽培する場所の排水を良くしておくことも、タネバエ防止に役立ちます。
種まき後や定植後に寄せたくない場合は、
防虫ネットを使って覆っておくのも良いでしょう。
その場合は、成虫の体が小さいので、1mm以下の目のネットを利用します。
薬剤を使って防除したい場合は、ダイアジノンが使えます。
タネを播く時や苗を定植する時に、土に混ぜて使います。
■参考
・タマネギ 肥料過多
・タマネギ 肥料一発
・タマネギ 無機肥料
・タマネギ 有機肥料
・タマネギ 3月の肥料
・タマネギの収穫時期