タマネギ 葉緑体
タマネギをスライスしたものを顕微鏡で見て、
葉緑体の有無を確認する実験をしたことはありますか?
学生の頃に、こういった実験を実施することも多いのですが、
植物には葉緑体があるものというイメージが強いにも関わらず、
タマネギには葉緑体が見られないという結果が出ます。
タマネギには、本当に葉緑体が存在しないのでしょうか。
[タマネギ 葉緑体]
■葉緑体とは?
葉緑体とは、簡単にいうと植物が持つ緑色をした細胞のことです。
土に根をおろして育てる植物以外にも、藻や海藻にも含まれています。
この場合は、緑色ではなく茶色っぽく見えることもあるようです。
植物の葉は緑色をしていますが、これは葉緑体を持っているためです。
葉緑体の中には葉緑素と呼ばれるものが含まれていて、
これによって植物は光合成をすることができます。
光合成をして養分を作り出し、株を大きく育てていく植物には、
葉緑体は欠かせない細胞ということになります。
■タマネギには葉緑体がない?
タマネギを薄くスライスしたものを顕微鏡で見る実験を行うことがあります。
学生の時にそんな授業をしたなと、思い出す方も多いのではないでしょうか。
その結果、タマネギには葉緑体が見られず、
含まれていないということが分かったかと思います。
葉緑体は、おもに葉に含まれている細胞のため、
タマネギに葉緑体が含まれていないのは当然だ、という風に思えます。
ところが、本来はタマネギのあの丸い部分には、葉緑体があるはずなのです。
というのも、いつも食べているタマネギのあの丸い部分は、葉の一部なのです。
タマネギは何層にもなっていますが、
あの何層にもなっている部分を鱗葉(りんよう)と呼びます。
字を見て分かる通り、鱗葉とは葉がうろこのように重なっている部分です。
タマネギの生育状態を見るとよく分かりますが、生育中のタマネギは、
地上部に緑色の葉を伸ばし、地際付近に玉が育ちます。
地上部に出ている葉の延長に玉部分があり、
葉が重なっている部分に養分が溜めこまれて肥大することにより、
スーパーで見るあの丸いタマネギに生長するのです。
では、なぜタマネギの玉部分には、葉緑体が含まれていないのでしょうか。
それはずばり、光合成をする必要がないからです。
タマネギにはもともと、地上部に緑色の葉が存在します。
玉部分が肥ってくるまでは、この地上に伸びた葉が光合成をして、
養分を作り出しています。
そのため、地上の青い葉には、葉緑体はたくさん存在します。
けれど、玉部分は栽培終盤になって、ようやく養分を溜めて肥大してきます。
タマネギの玉部分は、光合成をして養分を作り出すための器官ではなく、
むしろ地上の葉で作られた養分を溜めこんでおく器官なのです。
光合成をする必要がないため、タマネギの玉部分には、
葉緑体が存在しないのだと考えられます。
ちなみに、初夏の収穫後にタマネギは休眠期間へと入ります。
その後、秋になるとまた芽が伸びてきます。
家で保存していたタマネギに、
いつの間にか芽が出てきているという経験があるでしょう。
光も水もほぼない状態でも、タマネギから芽が出ることができるのは、
玉部分に溜めこまれた養分と水分を使っているためです。
■参考
・タマネギ 苗の作り方
・タマネギ 苗の販売
・タマネギ苗の保存方法
・タマネギ 肥料過多
・タマネギ 肥料一発
・タマネギ 無機肥料
・タマネギ 有機肥料
・タマネギ 3月の肥料
・タマネギの収穫時期