タマネギ ネギハモグリバエ
ハモグリバエの仲間
ネギハモグリバエは、葉を食害するタマネギの害虫です。
最初はあまり目立ちませんが、被害が大きくなってくると徐々に目立つようになります。
そんなネギハモグリバエの特徴や、被害の様子、対策などをご紹介します。
[タマネギ ネギハモグリバエ]
■ネギハモグリバエの特徴
ネギハモグリバエは、葉の組織の内側に卵を産み付けます。
そこから孵化した幼虫が葉の内側が食害し、
白いぐねぐねとした絵をかきながら進みます。
食害痕が絵をかいたようになることから、他の植物にもつくハモグリバエの種類は、
エカキムシと呼ばれていることもあります。
ネギハモグリバエの場合は、ネギやタマネギのみ食害する特性を持っているため、
他の植物にはあまり寄生しません。
その分、他の植物と分散することもないので、
タマネギ間だけでどんどん数を増やしていきます。
葉の内側の組織を食害して生長した幼虫は、
老齢になってくると葉の中から脱出し、株元に近い部分に降りていきます。
そこで蛹になって過ごした後、成虫となってまた出てきます。
成虫には雌と雄がいますが、卵を産むのは雌だけです。
そのため、葉に針のような器官を刺すことができるのは雌のみとなります。
雄は針のような器官をもっていないため、葉に針を刺して汁を出すことができません。
そこで、雌が吸汁のために針を刺して汁を吸った後、残った汁を雄が吸うというのが、
ネギハモグリバエの食事スタイルとなっています。
ハモグリバエの幼虫が食害した痕
■発生時期、被害の様子
ネギハモグリバエは、気温が高くなってくると発生が増えてきます。
5月頃から徐々に発生が見られるようになり、気温が上がるにしたがって、
生長スピードも早くなっていき、繁殖力も高くなっていきます。
早い時期には、10日~2週間くらいのサイクルで世代交代する場合もあります。
ネギハモグリバエの成虫は、小さなハエの姿をしているので、
他のハエを見分けるのは難しいでしょう。
・症状
また、卵を産み付けられた後、幼虫が孵化して食害を始めても、
最初のうちはあまり気づけないことが多いです。
幼虫が食害した痕が残っていくため、食害された箇所が増えれば増えるほど、
白っぽい曲がりくねった線が入った場所が増えていきます。
さらに、成虫の雌が卵を産んだり吸汁するために針であけた穴の部分も、
白っぽい色の丸い形となって残るため、被害が大きくなれば、
そういった被害痕もどんどん広がっていきます。
・病気の媒介は報告なし
ネギハモグリバエに寄生されたことによって、
ウィルス性の病気に感染するという報告はまだありません。
けれど、まだ苗が小さいうちに被害を受けると、苗は弱りやすくなります。
また、大きく育った時に被害が出た場合でも、
被害が大きくなれば葉が枯れたり弱ったりしてうまく機能しなくなり、
玉部分の肥大に影響することもあります。
さらに、収穫間近、あるいは収穫した後に葉から移動した幼虫が玉部分に入り込み、
玉を腐らせるという被害が出ることもあるので、被害を出さずに済むにこしたことはありません。
被害が大きくなると枯れ込んだり収穫部分を腐らせたりします
■対策
できればネギハモグリバエの成虫、
特に雌をタマネギに近づけないようにすることがポイントです。
そのために防虫ネットは有効ですが、
ネギハモグリバエは成虫になっても2mm~3mmほどととても小さいです。
ネットを設置する時には、ネットの目の粗さにも注目して選ぶようにしましょう。
目の粗さが1mm以下のものであれば、安心です。
ネギハモグリバエが発生した場合、やはりまだ数が少ないうちに対策をとっておいた方が、
防除できる可能性が高くなります。
・ネギハモグリバエに効く薬剤
ただ、ネギハモグリバエは、成虫が飛ぶ上に、
卵や幼虫も葉の内側に入り込んでいるため、表面に殺虫剤を散布しただけでは、
効果が出にくい場合が多いので現状です。
そのため、薬剤を使って防除する時には、浸透性のあるものを使ったり、
定期的に散布して長期的に駆除していくのがお勧めです。
使える薬剤には、ベストガード粒剤やダントツ粒剤などがあります。
収獲が近い時に散布したい場合は、ディアナSCやアファーム乳剤が使えます。
■参考
・タマネギ 肥料過多
・タマネギ 肥料一発
・タマネギ 無機肥料
・タマネギ 有機肥料
・タマネギ 3月の肥料
・タマネギの収穫時期