タマネギ 鉄欠乏症
タマネギが健全に育つためには、色々な要素が必要になります。
基本となるチッソ・リン酸・カリはもちろん、他の微量要素と呼ばれるものまで、
様々な要素を吸収して、タマネギは生長します。
必要となる要素の中のどれかが不足すると、欠乏症と呼ばれる状態となります。
その中でも、鉄が不足している状態を鉄欠乏症と呼びますが、
鉄欠乏症になった時にはどのような症状が出るのでしょうか。
[タマネギ 鉄欠乏症]
■主な症状
・葉色の変化
タマネギが鉄欠乏症になると、葉に症状が出ます。
正常なタマネギの葉は、先から根本まで全体が均一な緑色になります。
ところが鉄欠乏症になると、葉の色が変化していきます。
通常は全体が均一な色になるところ、鉄欠乏症になると線状に色が抜けていきます。
正常な緑色の部分と、
色が抜けて黄緑色になった部分がストライプ状になるのが特徴です。
症状が進むと、濃い緑色だった部分も徐々に色が抜け始め、葉全体の色が薄くなります。
先に色が抜けた部分は、さらに色が抜けて白化したようになります。
■主な原因
・他の養分が過剰
鉄欠乏症になる原因は、土中に鉄が不足しているだけではありません。
鉄の他に含まれている養分が、過剰に土中に存在していると、
鉄の吸収が阻害されて鉄欠乏症になります。
特にリン酸が多い状態や、銅や亜鉛、マンガンといった金属系が多いと、
鉄の吸収が阻害されやすくなります。
・土がアルカリ性
土中に鉄が十分に含まれていても、土がアルカリ性に傾いていると、
うまく吸収されずに鉄欠乏症が起こります。
鉄を含めた金属系の成分は、酸で溶けることによって、
植物に吸収されやすい状態となります。
ところが土がアルカリ性になっていると、
鉄が溶けにくくなってタマネギが吸収できず、鉄欠乏症となります。
・根傷み
鉄はもともと吸収されにくい成分のため、
根が傷むことでも、うまく吸収できなくなることがあります。
タマネギの根は他の植物に比べて粗く、過湿にも過乾燥にも弱いです。
栽培中、過湿や過乾燥、高温や低温などによって根が傷むと、
うまく鉄が吸収されずに鉄欠乏症が起こりやすくなります。
■対策
・土の酸度調整
栽培前、土作りの段階で土の酸度をチェックし、調整しておくのがお勧めです。
土がアルカリ性に傾いている場合は、石灰などのアルカリ性資材を控えます。
栽培前に調整しておけば、栽培中に鉄欠乏症などの不調を防ぎやすくなります。
栽培中に鉄欠乏症が出た場合も、
簡易的にでも一度土の酸度をチェックしておきましょう。
酸度に問題がなければ、他のことが原因で鉄欠乏症が起こっている証拠になります。
・施肥計画
鉄欠乏症はリン酸や銅、亜鉛、マンガンが過剰になることで、起こりやすくなります。
そのため、施肥計画を練る時には、リン酸を含めた肥料の量を調整しておきます。
鉄と拮抗関係にある成分を調整しておくことで、鉄欠乏症予防にもなります。
・葉面散布
鉄欠乏症の症状が出た場合は、0.1%の硫酸第1溶液を葉面散布して様子を見ます。
■参考
・タマネギ 肥料過多
・タマネギ 肥料一発
・タマネギ 無機肥料
・タマネギ 有機肥料
・タマネギ 3月の肥料
・タマネギの収穫時期