貝塚早生黄
貝塚早生黄
極早生品種の中でも特に早く、代表種とされている、
貝塚早生黄(カイヅカワセキ)の特徴と栽培のコツをご紹介します。
よく肥大し形も揃うのが魅力です。
[貝塚早生黄]
■貝塚早生黄の特徴
・極早生品種
早生品種の中でも、特に早く、極早生に分類される品種です。
早くから出荷されていて、新玉ねぎとして出回ることが多いです。
栽培は、中間地~暖地に向いています。
・貯蔵期間は夏まで
極早生品種なので、育つのが早く、
収穫も早いですが貯蔵は短いという特徴があります。
おおよそ、収穫してから夏まで貯蔵ができます。
貯蔵が短い分、旬のおいしいタマネギを食べることができます。
早くから収穫でき、栽培もしやすい品種です。
・大きさは小ぶり
中生、晩生品種にくらべて大きさは少し小ぶりの約250gになります。
形は横に平べったい扁円形をしています。
密植をすれば小玉ねぎに育てることができますし、
小さい粒のそろったタマネギがたくさん収穫できます。
・トウ立ちが少ない
極早生品種の中でもトウ立ちが特に少ないです。
肥大性もよく、形も揃います。
・食味、品質が良い
新玉ねぎとして出回る極早生品種はみずみずしく、甘みがあります。
中生品種などにない甘さがあり、食味が良いです。
新玉ねぎならではのおいしさが味わえます。
小さめの貝塚早生黄は、料理に大活躍してくれます
■貝塚早生黄の栽培のコツ
・種まきから植え付けまで
貝塚早生黄は寒冷地には向いておらず、
中間地、暖地向けですので注意してください。
中間地、暖地でも9月中までに種まきをして、約55日で植え付けをします。
若い苗を植えて活着を促すようにしてください。
・追肥と栽培管理
マルチをかけて栽培する場合は元肥がしっかり効くように配慮します。
マルチをかけず、地植え栽培をする場合は、
年明けの1月と2月中旬の2回に追肥をするようにしてください。
この追肥は忘れないようにしてください。
また、マルチをかけない場合は、草とりを徹底するのが良いです。
・収穫
貯蔵期間を伸ばすために、収穫は倒伏してから約1週間後、
よく晴れた日に収穫すると良いです。
■参考
・タマネギ 苗の作り方
・タマネギ 苗の販売
・タマネギ苗の保存方法
・ホームタマネギの栽培
O・L黄
O・L黄
O・L黄(オーエルキ)は、O・P黄、O・K黄などと同じ中生品種です。
特徴と栽培のコツをご紹介していきます。
[O・L黄]
■O・L黄の特徴
・中生品種
中生品種なので、8月下旬くらいから種まきをすれば、
5月下旬~6月上旬頃から収穫ができます。
似たような品種でO・P黄、O・K黄もあります。
どれも中生品種です、参考にしてください。
・抽苔、分球の心配が少ない
タマネギを栽培していると、トウ立ちや分球が起こることがあります。
このO・L黄は、トウ立ち、分球が起こる心配が少ないので、
初心者のかたにも育てやすい品種です。
・中甲高で揃いが良い
同じ中生品種のO・K黄やO・P黄と少し形が違います。
中甲高をしていて、横にやや大きいです。
トウ立ち、分球も起こりにくいことから肥大しやすいです。
また、揃いも良く、1球300gくらいに揃います。
・柔らかい肉質
タマネギの中でも比較的柔らかい肉質をしています。
柔らかい分、煮崩れしやすいですが、食味は良いです。
・葉の色が濃い
他のタマネギに比べて葉の色が濃く、濃緑色をしています。
また、細長いという特徴も持っています。
いろいろな料理に相性の良いタマネギです
■O・L黄の栽培のコツ
・種まきの時期
寒冷地で8月下旬、中間地で9月半ば、
暖地で9月下旬頃を目安に行ってください。
・若苗定植をする
若苗定植をして、活着を促します。
育苗日数は55日程度になります。
・元肥を主体に考える
土作りは元肥を主体として、止め肥は3月上旬頃にします。
3月下旬以降に肥料を与えないようにしてください。
吊り貯蔵をする場合には、肥料は少なめにしてください。
・貯蔵の仕方により、少肥の密植栽培にする
切り玉、短期貯蔵の場合は多肥栽培を行いますが、
吊り貯蔵にはやや肥料を少なめにし、密植栽培にするようにします。
しまった中玉になるように栽培して、適期に収穫するようにしてください。
貯蔵の仕方により、肥料の量、栽培を変えるようにすると良いです。
吊り貯蔵の場合、11月末まで貯蔵ができます。
・収穫時期
収穫時期は5月下旬~6月上旬になります。
貯蔵をする場合は適期に収穫するようにしてください。
■参考
・タマネギ 苗の作り方
・タマネギ 苗の販売
・タマネギ苗の保存方法
・ホームタマネギの栽培
大阪丸黄玉葱
大阪丸黄玉葱
[大阪丸黄玉葱]
■大阪丸黄玉葱(おおさかまるきたまねぎ)の特徴
・在来種のタマネギ
大阪丸黄玉葱は、名前に地名が入っている通り、
大阪で古くから育てられてきた在来種です。
すでに品種固定がされているため、
種をとればそれを播いて同じように育てることができます。
最近はこういった在来種の保存と栽培の継続が求められているので、
育てて収穫ができた暁には、ぜひ種の採取までチャレンジしたいものです。
・優れた貯蔵性
大阪丸黄玉葱の最大の特徴は、その貯蔵性です。
一般的な貯蔵用タマネギの場合、どうしても秋口に芽が出やすくなります。
しかし大阪丸黄玉葱は、年を越しても芽が出にくい性質があるのです。
そのため、貯蔵環境を万全にしておけば、長い期間楽しむことができます。
たくさん収穫ができても、貯蔵性が優れているため、
最後の1つまで無駄にせず食べることが可能です。
・締まった首
1玉はだいたい250gくらいです。
ころんと丸っこい形をしていて、首元がよく締まっています。
首が締まっているタマネギは貯蔵性が良いとされています。
スーパーに並んでいるタマネギを選ぶ時も、
首がよく締まっているものを選ぶのがお勧めです。
大阪丸黄玉葱は、全体的に首がよく締まるので、
そういったところからも貯蔵性の高さがうかがえます。
シチューの甘みやコクを出します
■大阪丸黄玉葱の栽培のコツ
・基本は同じ
基本の育て方は、一般的なタマネギと同じです。
種から育てて育苗し、苗を大小選別してから定植します。
あまり大きな苗を植え付けると、春にトウ立ちしやすくなるので注意します。
・種の採り方
在来種ですので、種の採取が可能です。
通常と同じように収穫し、乾燥・貯蔵しておいたタマネギのうち、
10月下旬頃まで芽が出てこなかったものを選びます。
選んだタマネギを再び植え、翌年の春に花を咲かせ種をつけさせます。
良い性質を持った親からとった種は、親の良い性質を受け継ぐことが多く、
大阪丸黄玉葱の貯蔵性の良さを生かすなら、
貯蔵性の良かった親玉から種をとるのが一番です。
・種の保存方法
大阪丸黄玉葱だけでなく、タマネギの種は湿度や温度に敏感で、
ちょっとしたことで発芽不良を起こしやすくなります。
採取した種は、茶筒など湿気が入りにくい容器に入れ、
冷蔵庫など温度変化が少ない場所で保管します。
■大阪丸黄玉葱 お勧めの食べ方
・タマネギ料理なら何でも
貯蔵性に優れている品種なので、貯蔵して長い間食べることができます。
カレーやシチューなど、甘みを出すための脇役としてはもちろん、
丸ごとスープで煮込んだものもおいしくいただけます。
油との相性も良いので、
大阪丸黄玉葱だけで天ぷらやフライにしても、おいしいです。
できる限り水分を減らして貯蔵するため、
旨みと甘みが強く、生より火を通した料理の方がお勧めです。
収穫してすぐの頃なら、生で食べることもできますが、
やはり火を通した料理の方が合っているように思います。
生で食べる場合は、水にさらしてからよく水を切って食べると、
辛みが減るので食べやすくなります。
■参考
・タマネギ 苗の作り方
・タマネギ 苗の販売
・タマネギ苗の保存方法
・ホームタマネギの栽培
ジェットボール
ジェットボール
[ジェットボール]
■ジェットボールの特徴
・早生~極早生
ジェットボールは、名前の通りジェットの速さで収穫できる早生~極早生の品種です。
通常のタマネギであれば、だいたい5月~6月頃が収穫適期となります。
ところが、極早生のジェットボールは、早ければ3月から収穫が可能になります。
中間地より涼しい地域では、4月頃から収穫を始めることができます。
これだけ早く収穫ができるのは、低温期の生育が良いからです。
通常のタマネギであれば、ある程度気温が上がってから玉の肥大が始まります。
ところがジェットボールの場合は、最低で7度以上で玉の肥大が始まります。
その後、少し気温が高くなって13度~15度になると、肥大スピードはピークに達します。
このため、まだ寒い時期から肥大が始まり、春に収穫することができるのです。
早めに収穫ができるので、夏野菜の植え付け時期にダブらないのも嬉しい利点です。
・甘くて柔らかい
ジェットボールは、柔らかく甘みが強いので、収穫したてなら水にさらさず食べられます。
ただ、柔らかいことが災いして、貯蔵性はあまり高くありません。
できるだけ早めに食べきる必要があります。
・形の揃いがいい
ジェットボールは、ほぼ球形の丸いかわいらしい形をしています。
首も玉もよく締まっているため、形よく育ちます。
1玉あたりだいたい300gくらいになり、直径は7cm~8cmになります。
全体的に形が揃うので、選別が楽になります。
薬味として使っても美味しいです
■ジェットボールの栽培のコツ
・播き時は9月
種を播いて育苗してから植え付ける場合、種を播くのは9月が適期です。
暑さが少し和らいだくらいに種を播き、育苗します。
基本的には大苗を植え付けた方が良いのですが、
ジェットボールは低温期の生育が良いので、あまり大苗にしすぎないのがコツです。
・セット栽培が可能
生育の速さを生かし、セット球の栽培も可能です。
残念ながら、セット球の販売がほとんどないため、自作する必要があります。
けれどセット球をうまく作ることができれば、植え付け後は生育が早いです。
低温になっても球の肥大が進むので、年内の収穫も夢ではありません。
今までセット球(ホームタマネギ)栽培を行っても、
年内に収穫できなかった人は、試してみる価値はあります。
>>ホームタマネギ(オニオンセット)の栽培
・葉は細くても背は高い
ジェットボールは、葉が少し細めです。
葉色は濃い緑なので、線は細いですが元気に育っているのがよく分かります。
葉の伸びも良いので、早生種の中では比較的背が高くなるのが特徴です。
収穫時、表面の皮は銅黄色になり、美しいです。
・マルチ栽培でさらに早く収穫
畝にビニールマルチをして栽培することで、地温が上がります。
地温が上がることで、気温が低くてもマルチ内の温度が高くなるため、
生育がさらに良くなります。
通常栽培の場合、3月に収穫するためには暖地で育てる必要がありますが、
マルチ栽培なら中間地でも3月収穫が可能になります。
■ジェットボール お勧めの食べ方
・生食で柔らかさと甘さを堪能
みずみずしく柔らかい食感と、じゅわっとしみでる甘さを楽しむなら、
やはり、まず生食がお勧めです。
水にさらす必要もないので、タマネギに含まれる水溶性の成分が、
溶け出るのを防ぐこともできます。
■参考
・タマネギ 苗の作り方
・タマネギ 苗の販売
・タマネギ苗の保存方法
・ホームタマネギの栽培
赤たまサラダ
赤たまサラダ
[赤たまサラダ]
■赤たまサラダの特徴
・甲高で形良い大玉
赤たまサラダは、1玉が約350gにもなる大玉種です。
形は甲高で、少し縦長に見え、首はよくすぼまっています。
表面はとても美しい紫色をしています。
濃い目の紫色なので、色映えも素晴らしいです。
・中まで美しい色
赤タマネギ、あるいは紫タマネギと呼ばれるタイプの品種なので、
層になっている1枚1枚の表面がすべて紫色をしてます。
横に切ってみると、断面はキレイな年輪のようになっています。
この紫色の色素は、ブルーベリーにも含まれる、アントシアニンという成分です。
今注目されているポリフェノールの1種ですが、
ブルーベリーに含まれていることがよく知られているためか、
赤タマネギの紫色の色素とはあまりイメージがつながらないようです。
・辛み少なく肉質柔らか
赤タマネギは、新タマネギのように水分が多く、柔らかいのが特徴です。
赤たまサラダも、長期保存が効くタマネギに比べると、水分が多く柔らかいです。
特に肉質の柔らかさはトップクラスです。
生のまま食べると、シャキっとした食感でジャリジャリとした硬さはありません。
すっきりとした甘みのある味で、タマネギの辛みが少ないので、
収穫したては水にさらさなくても良いほどです。
・貯蔵が可能
赤タマネギは、新タマネギと同様に水分が多いため、貯蔵には向かないとされます。
収穫した後はできる限り早く消費する必要がありますが、赤たまサラダは違います。
収穫してから、だいたい8月くらいまでは貯蔵が可能です。
夏の暑さと蒸れによって傷んできますが、それまではゆっくりと楽しめます。
貯蔵用のタマネギの空きスペースに、赤たまサラダを植えて育てておけば、
初夏~夏は新鮮な赤タマネギを楽しむことができます。
赤たまサラダは、貯蔵性が良い紫タマネギです
■赤たまサラダの栽培のコツ
・6月収穫の中生種
赤たまサラダは、赤タマネギではありますが、中生種です。
早生や極早生が多い赤タマネギや新タマネギの中では、少し珍しいかもしれません。
だいたい種を播くのは9月の上旬です。
そこから育苗し、11月上旬に苗を定植します。
貯蔵したい場合は、少し遅めにスタートします。
9月中旬に種を播き、11月中旬に定植するとちょうど良いタイミングとなります。
■赤たまサラダ お勧めの食べ方
・やっぱり生食
名前にサラダとついている通り、生食で食べるのがお勧めです。
反対に火を通すと、肉質が柔らかいためにすぐに煮崩れます。
また、赤たまサラダのキレイな紫色が溶け出てしまい、煮汁の色が悪くなります。
薄くスライスした後、他の野菜と混ぜて新鮮サラダにすると、彩りが美しいです。
繊維に沿って切っても、輪切りにしても、美しい紫色が映えます。
辛みの少ない品種ですが、できる限り辛みを取り除きたい場合は、
軽く水にさらしてから食べると良いでしょう。
・色を生かして
スライスしたものをそのまま食べるのも良いですが、
一手間加えるだけで、美しい色と味をさらに堪能できます。
お勧めは、甘酢漬けやドレッシングです。
酢に漬けることで、赤たまサラダの色が液に出て、
液体自体が美しいピンク色に染まります。
酢漬けにしてそのままバケットの間に挟んだり、
他の野菜や肉、魚などと混ぜて酢の物にしたり、
ドレッシングをカルパッチョにかけたりと、
料理の幅も広がりますし、彩りも鮮やかになります。
■参考
・タマネギ 苗の作り方
・タマネギ 苗の販売
・タマネギ苗の保存方法
・ホームタマネギの栽培